心と心理学 第7章 約2分

発達心理学 — 誕生から老年までの心

O
Oiyo 寄稿者
7/8

発達心理学とは

発達心理学は、人が生まれてから死ぬまでにどう変わっていくのかを研究する分野です。身体・認知・感情・社会性という、あらゆる側面での変化を扱います。

中心となる問い:
- 成長は連続的なのか、それとも段階的なのか
- 遺伝(nature)と環境(nurture)のどちらがより重要なのか
- 変化を動かしているものは何か

ピアジェの認知発達段階

ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)は、子どもが受け身で知識を受け取るのではなく、みずから能動的に知識を組み立てていくと主張しました。

第1段階: 感覚運動期(0〜2歳)
→ 五感と身体の動きで世界を探索する
→ 鍵となるのは対象の永続性(見えなくなっても存在し続ける)

第2段階: 前操作期(2〜7歳)
→ 言語が発達し、象徴的な思考が育つ
→ 自己中心性(他者の視点に立つのが難しい)

第3段階: 具体的操作期(7〜11歳)
→ 論理的な思考が可能になる(保存の概念を獲得)
→ 分類や系列化ができるようになる

第4段階: 形式的操作期(12歳〜)
→ 抽象的・仮説的な思考ができる
→ 科学的推論が発達する

エリクソンの心理社会的発達

エリク・エリクソンは、発達を子ども時代で終わるものとは考えず、生涯にわたる8段階の理論として示しました。

段階年齢中心的な葛藤達成されるもの
10〜1歳信頼 vs 不信希望
21〜3歳自律性 vs 恥・疑惑意志
33〜6歳自発性 vs 罪悪感目的
46〜12歳勤勉性 vs 劣等感有能感
5青年期同一性 vs 役割の混乱忠誠
6成人前期親密性 vs 孤立
7中年期生殖性 vs 停滞世話
8老年期自我の統合 vs 絶望英知

愛着理論

ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)の愛着理論では、乳児と養育者のあいだに結ばれる情緒的な絆が、その後の発達の土台になると考えます。

メアリー・エインズワースの愛着タイプ(ストレンジ・シチュエーション法):

安定型(およそ60%):
- 養育者が離れると不安になるが、戻ってくるとすぐ落ち着く
- 養育者が一貫して応答的であるときに形成される

不安型(およそ20%):
- 分離のときに極度の不安を示す
- 再会したあとも怒りやしがみつきが続く

回避型(およそ15%):
- 分離にも再会にもほとんど反応を示さない
- 養育者が拒否的・冷淡であるときに形成される

無秩序型(およそ5%):
- 反応に一貫性がない
- 虐待やネグレクトのある環境で形成される

言語の発達

0〜6か月: 喃語(なんご)が始まる
12か月: 初語(ママ、パパ)
18〜24か月: 語彙の爆発 — 覚える言葉が一気に増える
2歳: 二語文(「もっとちょうだい」「ごはん ちょうだい」)
3〜4歳: 文法規則を身につけ始める
5歳: 大人に近い文を組み立てられる

チョムスキーの言語獲得装置(LAD):
→ 人には言語を学ぶための生得的な能力が備わっている
→ 普遍文法が存在するという主張

青年期 — アイデンティティの形成

マーシャのアイデンティティ・ステータス理論:

同一性達成: 探索したうえで関与している
→ 最も健康な状態

モラトリアム: 探索の最中で、まだ決めていない
→ 不安ではあるが、成長の途中にある

早期完了: 探索せずに関与している(親の価値をそのまま受け入れる)
→ 硬直しやすい

同一性拡散: 探索も関与もない
→ 発達上の問題につながる可能性がある

成人期と老年期

成人前期(20〜40代):
- 親密な関係を築く(エリクソン第6段階)
- 職業上のアイデンティティを固める
- 脳の可塑性はなお高い

中年期(40〜60代):
- 生殖性 vs 停滞の葛藤
- 中年の危機: 人生の意味を問い直す
- 結晶性知能が増す(経験にもとづく問題解決)

老年期(60代〜):
- 自我の統合: 人生の全体を受け入れる
- 結晶性知能は保たれ、流動性知能は低下する
- 社会情動的選択理論: 意味のある関係に絞り込んでいく

覚えておきたい要点

ピアジェ: 感覚運動 → 前操作 → 具体的操作 → 形式的操作 エリクソン: 8段階の葛藤 — 信頼・自律・自発・勤勉・同一性・親密・生殖・統合 愛着タイプ: 安定(60%)/不安(20%)/回避(15%)/無秩序(5%) 流動性知能(加齢とともに低下) vs 結晶性知能(経験とともに増加)

O

Oiyo

編集部

OIYO編集部は、経済・法律・生活・自己理解のテーマを一次資料と公開統計で検証してまとめます。すべての記事は出典を明記し、定期的に見直して正確さと実用性を保ちます。